『地熱資源の活用に再び注目~地熱発電~』
エネルギー基本計画で発電コストが低く、安定的に発電を行うことが可能なベースロード電源として位置づけられている地熱発電の普及に再び注目が集まっています。
資源量
日本の資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位で、2,347万キロワット、原発20基分に相当する資源量を有す。
しかし、現在の合計出力は52万キロワットと国内の全電源の0.3%にとどまっている。
普及が遅れている要因として、資源の約8割が国立公園や国定公園にあり、周辺の温泉が枯れるとの懸念もあり、大規模開発は進んでいない。
地熱発電の種類
<蒸気フラッシュ発電(高温資源向き:180~370℃)>
稼動時、ゼロ・エミッションではないが、熱水・蒸気を直接使うため、安全で発電効率が高く大型化も可能。
蒸気フラッシュ発電は主に3種類がある。
①ダブルフラッシュ発電
タービン出口側の蒸気を復水させ、その圧力差によって発電効率を高める。フラッシャーの二次蒸気も利用可能。
②シングルフラッシュ発電
タービン出口側の蒸気を復水させ、その圧力差によって発電効率を高める。フラッシャーの二次蒸気は用いない。
③背圧式発電
タービン出口側の蒸気を大気に開放。発電効率は落ちるが、復水器や冷却塔が不要で簡易発電に適している。
<バイナリ―サイクル発電(中低温資源向き:50~200℃)>
稼動時、ゼロ・エミッションながら、発電効率が低く、可燃性など触媒の管理が必要。
バイナリ―サイクル発電は主に2種類がある。
①ランキンサイクル発電
有機媒体が主流で、100~200℃程度で発電が可能。アラスカでは71℃で発電も。
②カリーナサイクル発電
アンモニア水混合媒体が主流で、53~180℃程度で発電が可能。媒体が可燃性ではなく、管理がやや容易。
最近の動向
インドネシアで日本企業が世界最大規模の地熱発電設備の建設を進めている。
地下2,000mまで約30本の井戸を掘り、高熱の蒸気や熱水を取り出す。2016年11月から3基の発電施設が順次稼働する予定で、総出力は計33万キロワットと日本最大の九州電力八丁原発電所の3倍の規模となる。
また、地熱発電の資源量を倍増する「高温岩体発電」も技術研究が進む。
高温岩体発電は、深度2,000~5,000mの岩盤を砕き、人工的に貯留層をつくりそこに注水して熱水をつくるという仕組み。
深く掘るほどマグマに近く高温となるため、地表近くにマグマだまりがある火山帯でなくても地熱発電が可能となる。
アイスランドでは地下2,000mのマグマ付近の高温・高圧の蒸気を取り出す実験に成功した事例もある。
まとめ
政府は2030年までに地熱発電の電源比率を現在の3倍にまで引き上げる計画としており、大規模な地熱開発を後押しするとしている。
政府が指定した重点開発拠点での削掘調査費の補助率を1/2から3/4へ引き上げるなどの動きもある。
地下深くに眠る資源を上手く活用できれば、原発に代わる新たな電源にもなり得るポテンシャルを持っており今後も注目です!
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